就業証明書

学生の頃、予定を埋めていつも忙しそうにしている友人がいた。遊ぶ予定を立てようとすると最短でも1ヶ月後になるくらいには、彼の予定は埋まっていた。
ある時、興味本位から「何故そんなに予定が埋まっているのか」を聞くと、本当に些細な予定が毎日細切れになって入っていただけだった。
それが本当だったのか、問い詰めてくる私を面倒に感じて言った出まかせなのかはわからないが、『非効率だな』とだけ思った。

実際、彼の挙げた1週間の予定は私なら1日あれば全部解決できるような内容であった。
1時間も掛からないような予定を単発で入れて1日を埋める。予定のない日ができると死が訪れるようなデスゲームをしているようにも見えた。


私はこれまでの人生における不運から目を背けるために、オンラインゲームを趣味にしていた。
実際、あと10年ほど生きても未だに、「人生の半分はオンラインゲームをしている」と言えるくらいには。
ずっとこういう日々が続くのだろうとぼんやり考えていたのだが、転職による環境変化によりこの見立てが崩れつつある。自分の市場価値を知ったのがきっかけだ。
転職時に提示された年収を見て、どうやら私はリーマンショックの影響で安く買い叩かれた側の人間だったとようやく自覚できた。

所謂拝金主義の人間に市場価値がついて回ると行動原理は非常に単純になる。公私問わず、コミュニティが自身にとって財産につながるか否かだけである。
結果、オンラインゲームのコミュニティについては年内に折り合いを付けてフェードアウトする。全クリした(飽きた)のと、シンプルに時間がないからだ。

正直に言うと、こんな底辺が集まって傷の舐め合いだけをしているコミュニティに投下する時間はない。 勿体ないという、自身の価値を認知したからだ。


細切れの予定で日々を埋めるのも、廃人間際まで1つのゲームで日々を埋めるのも、「暇や人生からの逃避」が目的という点では同類だった。
あの日、予定のない日を恐れる友人を内心で嘲った私は、自分の立っている泥沼すら見えていない裸の王様だったと思う。

過去の滑稽な自分を十分に嗤い、省みたうえで、次へ進もうと思う。

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