Go Go around this world

忘れていた
殺していた
諦めていた

怖いもの
寂しさ

そんなものが全部
溢れかえって

素直にさらけ出して

退化している?
いや いや
まったくもっての はんたい

人間らしさが
もっともっと濃くなっていく

壊されて
感じなくなっている部分は
まだまだあるけど

見ない振りは
もういいんだ
歩き出そうよ

ゆっくり進む 秋の日差しを
この体で ぐっと感じようぜ

REMEDY

そうやって

綺麗事を一つ造り上げて
吐き出す度に
世界は少しずつ壊れていく

ほんとうのいろもしらないまま

黒が怖いのは
その下の色を
見たくないから?

隠しているうちに
色褪せ続けて

ねぇ、一体君たちは
今まで幾つの世界を
壊してきたんだい?

スペード

息を潜めて
小さく呼吸を回す。

抱えこんだ寂寥を
飼い殺して、飼い殺されて

見えなくなってしまっていた
この眼が再び開けられて

黒はまた、生き返るのだ。

耳を劈くような悲鳴が聞こえた
ような気がした
残念だけど、当然だ。

吐露の方法を

自分を慰めるように
吐き出す言葉は
宙を舞って

そんな時間も漸く終わって
しばらく
開店休業

埋まるはずもないと思っていた
安寧を
一匙とも言わず

対応する
吐き出しの糸口は
あの名無しに取られた儘

いい加減
返して貰わないと

きりきりと疼く
死んだはずの線
きっと生きているよ

魔物が落ちてくる

さぁ、つかまえた

逃がさないし
料理の方法も
思い出しつつある

彼が御機嫌なんて
何時振りか
もう
見れないと思っていたのに

言葉をちゃんと食べるんだ
腐りかけていたものでも
きちんと熱処理を加えて

健康管理のお時間です

食欲が少しずつ戻ってくる気配
機は逃さない

噛み砕こうか

プールサイド

かちかち と
時計の秒針が不規則に響くよう

何時の間にか
あの窓から一度投げた痛みが
戻りつつある

自覚の有無に関わらず
着実と蓄積されていく鈍痛
鈍すぎて

その中に混じり込む

いいよ

此処で吐き出せってことだろう
ならば、無くしたもの全部此処に
集まって来いよ

ケースの中から一つ一つ
ピースを取り出して
パズルを組み立てるのは おしまい

一度
ばらしてしまいましょう
嵌らない偽物もあるかもしれないから

ずっとずっと
前を見据えた取捨選択を
今度はして見せる

さぁ
苦しめられるのは
あと 1日

厭でも生きてやるよ
残さず全部抱えて
まとめて料理するから

多分彼らの最終形は

自殺だ なんて言うし

一体幾つ 抱えていたのだろうか
隠していたのだろうか なんて

いや、まだまだ きっとある
炙り出していかないと、きっとこれは。

生きる為に期間限定で鈍らせた感覚
それは、どうにも耐えられるものではなく
再び、研ぎ澄まされる。

簡潔な思考から、完結の思考から
抜け出すには圧倒的な何かが足りなくて
其処に行き着かないようにするのが精一杯

関係する大部分に覚える鬱陶しさ
それに覆われている。
物理的距離が近いほどその不快感は増して
本来触れている世界からでさえ
一度、抜け出してリフレッシュしなければいけない

うん、ここまでこれた。
どうにでもしてやるさ。

ベルリン

募る焦りを消化できずに
やるせなさだけ保って溜まっていく

外部に向ける耳は異常をきたし始めて
少し休ませないと
必要な声も聞けなくなる

没頭、逃避
はやく、それを

痛い、とにかく痛いのだ
急速に事が動いたこの二週間
近くに住む人は
鳥籠に僕を閉じ込めようとする

どこを見ても閉鎖的な空間
小学校の頃のあの仲間外れ遊びを思い出す

足掻いて、もがいて
閉じ込めようとする己を喰い殺し続ける

あーあ
西ドイツに追い出されたというのに
怖いもの見たさで壁を登って
銃殺されたいのかい?

駆逐するやうな場所のお祭りは
謝肉祭がいいところだよ

静けさに覆われて
ゆっくりと次の覚醒を待つ

あと、もう少し
疲れで感覚が死なないようにだけ

19 季節外れの花輪

此処に来れて好かった

白い肌をした少年は
何時振りかの笑顔を浮かべて
生えているタンポポを一つ摘んだ

でしょ、信じられないよね
1月にタンポポ畑が満開になるなんて

同じように白い肌の少女
彼と同じようにタンポポを一つ摘み取る

どちらも頬は痩け落ち
ふらふらになりながら
此の場所に辿り着いた

小さな丘の木の下にある穴
小さな子しか通れない幅でも
今の彼らには大きすぎる穴だった
それを潜り抜けた先にある場所

明日から2月で
2人は明日死ぬ
彼は病気で
彼女は虐待で

根拠なんてなくて
ただ、二人ともそんな気がしているだけ

最後に見ておきたいね
そう話し合った場所が
この季節外れのタンポポ畑だった

ほんとに、最後なんだねぇ
笑顔を崩さないで少女は言う

明日には全部散っちゃうからね
今日だけだよ、ほんとに
同じように少年は笑う

『ねぇ、帰るのやめない?』

同時につく言葉
一瞬驚いた二人
愉しそうに笑って
ひとしきり笑って

眼を伏せながら少女は言う

だめだよ、私が残っちゃうから

うん、そうだよねぇ

少し、ほんの少しだけ悲しそうな顔で
少年は笑う

はい、これ

少年が何時の間にか持ったのは
小さな花冠

多分 ね
僕のが先に死んじゃうんだ
でも
その花が散ったら
君も一緒に来れるよ

むしりとっちゃ、だめ?

良いけど、効き目がなくなっちゃうよ
それでも良いならね

じゃあ、やめとく
ありがとう

被せた刹那
降り始める白い雪
黄色の花びらは少しずつ
白く染まっていく

ん、思ったより、早そうだね。

そう言った少年の顔は
初めて見るような安心の白に包まれていた。

『42℃のお題』より
https//sos.eco.to/c/t/